
さつまいもは、現在の食生活において非常に身近な野菜ですが、古くは飢饉などの際の救荒食物として重宝されていました。
痩せた土地でもよく育ち、冷害などに対しても強い生命力を持っているさつまいもは、それ自体が多種多様な栄養成分を豊富に含んでいます。
そして、それらの成分は、摂取する人間の身体にもさまざまな効能をもたらします。
さつまいもを食べるとどんな効能がある?

ビタミンCが豊富
さつまいもに含まれる栄養成分の中でも代表的なものは、ビタミン類です。
特にビタミンCの量は豊富で、平均して100gあたり29g、りんごの約10倍の含有量があります。
ビタミンCは強い抗酸化作用を持つことで知られており、細胞の老化に関与する活性酸素の働きを抑え、動脈硬化や心筋梗塞などの予防に寄与します。
また、コラーゲンの生成を促進したりメラニン色素を減らすなど、美肌効果もあります。
それからやはり抗酸化作用を持つとともに、血管を拡張させて血行を促進し、冷え症などの改善に役立つビタミンEや、体力の元になる糖質を効率よくエネルギーに変える際に重要な働きをするビタミンB1なども多く含まれています。
葉酸
また、比較的最近になって注目を集めているさつまいもの成分に葉酸があります。
葉酸はビタミンBの仲間ですが、造血活動において非常に重要な働きをする物質です。
妊娠初期の女性が十分な量を摂取すると、神経管閉鎖障害という胎児の先天異常の発生リスクを減らす作用をもたらすことから、国から摂取に関するガイドラインが示されています。
ミネラルも豊富
一方、ミネラル類も豊富です。たとえばカリウムです。
カリウムは細胞が正常に活動を行うための環境づくりに役立っているほか、体内にナトリウムが多すぎるときにこれを排出する役目も持っています。
これにより、血圧の上昇を抑制する効果が発揮されます。
その他の成分
その他にも、骨や歯を丈夫にするために必須の成分であるカルシウム、DNAなどの核酸の構成物質であるリン、貧血を予防する効果のある鉄分などが含まれています。
食物繊維
そして、最後に挙げておくべきなのが、食物繊維です。
食物繊維はもともと、食べ物の「残りかす」のように扱われており、栄養成分とは認められていませんでしたが、現在では人体における有用性が広く知られている物質です。
食物繊維には腸内環境を整える働きがあり、消化活動を助け、便秘を解消したり大腸がんを予防したりする効果があります。
特に、さつまいもにはヤラピンという整腸成分も一緒に含まれているので、強い相乗効果をもたらします。
さつまいもの成分(100g当たり)
一般成分 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 134 kcal |
水分 | 65.6 g |
たんぱく質 | 1.2 g |
脂質 | 0.2 g |
炭水化物 | 31.9 g |
無機質 | 含有量 |
---|---|
ナトリウム | 11 mg |
カリウム | 480 mg |
カルシウム | 36 mg |
マグネシウム | 24 mg |
リン | 47 mg |
鉄 | 0.6 mg |
亜鉛 | 0.2 mg |
銅 | 0.17 mg |
マンガン | 0.41 mg |
ヨウ素 | 1 μg |
ビタミン | 含有量 |
---|---|
ビタミンA βカロテン | 28 μg |
ビタミンB1 | 0.11 mg |
ビタミンB2 | 0.04 mg |
ビタミンB3 ナイアシン | 0.8 mg |
ビタミンB6 | 0.26 mg |
ビタミンC | 29 mg |
ビタミンE αトコフェノール | 1.5 mg |
ビタミンE γトコフェノール | 0 mg |
葉酸 | 49 μg |
パントテン酸 | 0.9 mg |